中速切断機の作り方。

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 この手の機械工具は「ベルト駆動」がほとんどです。その訳はモーターの形状のせいだと思います。100V400Wのモーターの場合(日立製)円筒部分の直径が150ミリあります。シャフトに直接円形砥石とか丸鋸刃等を取り付けた場合、長ものを切ろうとするとすぐにモーターの外壁にぶつかってしまいます。(直角に近い切り方の場合) 

 ところで今回の製作は、355ミリの切断砥石を取り付ける予定です。引き算しますと 355-150=205 205/2=102.5 で、大体100ミリぐらいはぶつからずに切ることが出来ます。(砥石が減ってない場合)

 切断加工対象は、アングルとか平鉄とか丸棒とか(いずれも鉄、鉄以外も切れます)です。「長もの」と言います。私は「折り曲げ君4号」用の部品製作のため、6*90の平鉄を切る必要があるのですが、十分可能な性能です。   


 モーターのシャフトに直接切断砥石を取り付ける方法は3つあります。

  1. 専用の部品を作る、旋盤をお持ちの方は簡単ですが、持っている人はこんなもの作らないでしょう。
  2. 方ボスプーリーをはめ込み、側面に切断砥石取り付け用の穴をあけ、ボルトで固定する。
  3. モーター軸に直接円盤(砥石取り付け穴をあけておく)を溶接する。(機械関係の方から怒られそう)

 1の専用部品は金がかかるのでやめます。溶接機をお持ちでない・又は頼めない人は、2が良いと思います。方ボスプーリーは一個1.000ぐらいです。軸の寸法が合わないと使えませんので「ノギス」が必要です。

 今回は3のハチャメチャ溶接方法です。(溶接環境がない方は、2の方法で)モーターのベアリングを痛めないようにするのがポイントです。

まず円盤(フランジ)を作ります。

6ミリでなくても3ミリ以上ならOKです。
こんなのです。真ん中の穴は16ミリです。今度買ってきたモーターの軸が16ミリでした、ホルソーであけます。
厚さ6ミリの鉄板から金ノコで切り出しました。直径80ミリです。とにかく根性がいります。体重が2キロほど減りました
外周はサンダーで仕上げました。今は大体丸くなっていればよいです。 
外側の穴は6ミリです。3箇所でよいのですがつい余分にあけてしまいました。

 今回のモーターです。100V400Wとかなり強力です。

 こんな具合にはめて溶接します。熱がモーター内部にあまり行かないようにします。
具体的には、タオルを水に濡らしてシャフトに巻き付けます。何度も何度も押さえつけます。
(ベアリングのグリスが蒸発したら ジ・エンドです)


今回の溶接で外周のブレは大体0.3ミリ程度でした、バーナーで無理矢理矯正も可能ですが、
ペアリングをパーにする確立が高いのでやめます。

 モーターを仮止めし、通電して回転させながら外周をサンダーで削り仕上げします。私は慣れているので足でモーターを踏みつけ、いきなり削っていますが、やはりしっかり固定して作業した方が安心です。(このとき側面も削るという手もありますが、面倒くさいのでやめます) 

ここからは方ボスプーリーでも同じです。
ただプーリーの場合、斜めの部分があるので慎重な作業が必要です。

次にベニヤ板で円盤を2枚作ります。直径110ミリくらいです。左側の円盤は切断砥石を取り付けますので少し厚くて硬いもので
作ります。右側の円盤は「押さえ」ですので厚さ5ミリぐらいでOKです。大体丸ければ良いです。

まず厚い方を取り付けます。サラビスを使い頭が5ミリほど沈むようにします。(あとで削るので)

次に薄い方も別なボルトで取り付けます。
  仕上がりました。
大工さんの使うノミで木工旋盤よろしく削ります。これはおもしろいです。
ノミは良く研いでおく必要があります。
     
薄い方の円盤を取り外し、厚い方の円盤の側面を削ります。
大体2ミリほど削りますが、中心部分は砥石の穴の分残します。


 ここまでで、九割方完成です。

 次に切断砥石側の加工です。本来なら砥石のメーカーが絶対許さない方法ですがそこはそれ、自己の責任(私も責任は負いません)として認識してください、砥石自体の強度が飛躍的に上がっていますし、回転速度も本来の三分の一程度ですので問題ないと思います。
 こんな常識はずれな・・・と思われる方は読み飛ばしてください。(私はこの方法を30年以上使っています)



こういう穴をあけます。
   
まず薄い方の円盤から穴の位置を写し取ります。
金敷の上で点検ハンマーのとがった方で軽く20回ほど叩きます。するとだんだん崩れてきます。
穴はバカ穴です。10ミリくらいになってもかまいません。

セットしました。あとは受け台とか飛散防止のカバーとかだけです。

 使いやすい形に色々考えてみてください、私はトロ車付きの台を作って丸鋸盤のような使い方をしています。非常に安全です。10ミリくらいの小片をさらに半分に切る場合も、軽く手を添えているだけで切断してしまいます。今までで一番大きな(太い)ものは40ミリのムクの丸棒です。3分ぐらいで切れました。
 


 6*32の平鉄を切っています。

 前から見たところです。砥石は上から下に動いているので、部材は非常に安定しています。この写真でもお分かりのように、手放し運転です。手を添えるのは切り始めと切り終わりの時だけです。(おもりの力で前に進んでいます)
 

 今回の工作のポイントは、よけいな部品(金)を使わないモーター直結方法と速度を抑えることと、砥石の取り付け方法を従来の中心のみの固定方法をやめて、好きなところで止める、というところでしょうか。

 それとベニヤ板を使うという点です。溶接なんかしたら絶対まともな直角等でません、その狂いをベニヤを削ることで矯正しようという訳です。30年前の作品がまだ現役です。手直ししたこともありません、ベニヤはぬらさなければ結構強いということでしょうか。

 

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終わり。6/28