林メカトロ工作研究室
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 「竹槍カット」のどうのこうのをやるつもりだったのですが、その前にどうしても金属片の折り曲げ(それも正確に)をしなくてはならない事に気がつきました。簡単に【打撃式】でやろうと思います。万力に挟んで金槌でひっぱたくという作業です。皆様もやったことがあると思いますがここで問題です。

 「正確な位置で曲げることが出来るか」という問題です。私の経験ですと「曲がる事は曲がるが正確とは言い難い・・・かな?」です。その理由をじっくり考えてみました。(待合室で)

 で、結論は「曲げたいところをひっぱたいていない」のではないか(笑)ということです。たとえば万力に板を挟んで叩いて曲げるとき、あて板とか使ったりしてやるわけですが、肝心の折り曲がる所だけを叩くのはなかなか難しいです。それと曲げたくない部分がどうしても曲がってしまいます。(というか、曲げたくないところが先に曲がる)(笑)また曲げたいところを木片で叩いたのでは「木」の強度不足で思うように曲がりません。

 それともう一つ、万力で板を挟んだのでは保持力が足りません、どんなにでかい万力を使って「締め付けレバー」をぶったたいて思いっきり堅く締めたつもりでも肝心のところが甘甘(あまあま)です。これは万力の構造に起因します。(万力のエッジも結構甘いし)

 そこで、金属の曲げに対する復元力と慣性の法則(えらそうに)を考え、ちょっとした小道具(治具と言えるかな?)を思いつきました。大した物ではありませんが、使ってみたらなかなか調子よいので発表します。(実にくだらないんですけど)復元力の対策にはゴム板を利用してみました。


【打撃系折り曲げ治具】



またまた地震対策用金具です。3*25*120ミリの物がありました。1枚8円です。これを使って作ります。

    
 この金具に木片を取り付けるのですが、少し斜めにコバを切ります。大体2度ほど傾斜しました。この辺説明するとちょっと面倒なんですが、金属板の曲げに対する復元力対策・・・と言いますか「ただのこだわり」だったりして。(笑)


材料です。平鉄のほか、木片、2ミリの平ゴム、タッピングビス、両面テープです。

 完成です。なにげに曲線なのはただのこだわりです。少しでも握りやすいかな?と思い削っただけで目的とは関係ありません。

 万力に挟んだ板を「ひっぱたいて曲げる・・・というただそれだけ」の物です。こんなのただの板きれでいいじゃんと言われればそれまでですが、肝心の被害者である金属の折り曲がる部分から言えばこいつは天敵。(笑)


 
実践編


単純なこんな物を作りたかっただけです。
 この程度なら別にどうって事はありません、過去にも万力を使って何度も曲げています。それで用は足りていたんですがよく考えてみて「きちんとした物を作ったことがあるか?」と考えると以外といい加減だったような気がします。

 それに万力だと二回目の曲げの時、一回目の曲げた部分が万力に当たり、結構ごまかしていたような気がします。平鉄かアングルに挟んで曲げれば解決しますが、せっかく工作ベース300があるので「正確でストレスの無い簡単な曲げ」を実践します。


厚いベニヤ板に工作ベース300を取り付けた物を使います。

      
1ミリのアルミ板を幅20ミリに切断します。


あっという間です。

     
30センチの物差しをはさみ、台を置いて板を乗せ、ケガキモードにします。

   
 寸法等書き込んだら2回目の切断をします。スリットがあるので長くても大丈夫です。1ミリのアルミですからこんなことしなくても金バサミとかでも簡単に切れますが「仕上がり具合」が雲泥の差です。

   
あて板と一緒にはさみ、小さめの金鋸で切ってヤスリで仕上げています。


出来ました。いよいよ折り曲げ実験です。

   
 折り曲げ部分は出来るだけ正確に挟みます。それから写真のようにクランプでだめ押し締め付けをします。こうしますと万力より遙かに強い力で板を挟むことが出来ます。次に前に作った治具の平鉄部分を曲げるところにぴったりあてがいます。そしてわずかずつ角度を深くしながら「コンコン」と叩いていきます。色々やったんですが、この様に少しずつやるのがコツのようです。急ぐとろくな事がありません。


平鉄と曲げたいところをずれないようにします。

    
 2回目の挟み込みも慎重にやります。右は終わったところです。

 何の変哲も無いただの打撃折り曲げですがだいぶ様子が違いました。まずありがちな「跳ね返り」がありません、これは板ゴムであらかじめ曲げたい方向に押しているためと考えられます。打撃により折り曲がる部分は「決定」される(変な言い方)ためではないでしょうか、それと徐々に曲がっていくとき、よけいな所が一切曲がりません。

 結果、非常に正確に曲げることが出来ました。正確と言っても挟んでいる部分だけで、叩いた所の「延び」はあります。行程を考えて「正確さを要求される部分」と「それほどでもない部分」を使い分ければ良いと思います。今回で言えば切り込みのある部分が出来るだけ正確になるようにしました。



    
 今回作ったコの字金具を工作ベース300にセットし、下に受け台をクランプで止めました。3ミリの竹槍カット棒(元千枚通し)で穴あけ実験、右の写真のように打ち抜いた直後このように板ごとはずれるので抜き取りが楽です。

 これで完全に工作ベース300にパンチャーモードが追加されました。もうあまり電気(電池)ドリルを振り回さなくても穴あけ加工が出来ます。それと竹槍カットの使い勝手ですが、簡単な治具を追加するだけで正確な位置に穴あけが可能な事がわかったので実験はこれまでとし、次は実践とします。







【単純折り曲げ治具】
(なんだかこんな事ばっかりやってる気が)

  
左は失敗です。右は角パイプで作った物です。

  
 角パイプの真ん中に切れ目を入れて「くの字」に曲がるようにしました。そして平ゴムで引っ張っています。6ミリの長ネジは「逆くの字」になるのを防ぐためと「くの字」になりすぎるのを防ぐためです。

  
 早速試し曲げをしてみます。1ミリ厚のアルミ板を 8ミリで幅 180ミリ曲げてみます。右の写真のように中央部分が先に板に接触します。力を入れていくとやがて全面に接触します。そこからぐいっと一気に曲げます。

  
何となくいい感じ。


想定通りにピシッと曲がりました。
 平ゴムの強さの分だけ中央部分が余分に押されます。その為「中だるみ」が出にくくピシッと曲がるのでは?と思います。(というか思いたい)(笑)強さは色々試す必要がありそうです。






 後記。
 うーーーむ、ただの板っきれでもこの程度なら出来るような気がする、(笑)皆様はどう思われるでしょうか?、私としてはなかなか良いと思うのですが。

 一つ良い点があります。それは曲げるとき「かなり本気になる」、(笑)という事です。なれてくるとついつい「ナアナア」になりがちですが、これを使うと「身を引き締める効果」はあるかも?。







 (きっかけ)

 折り曲げ機(器?)を持っていらっしゃる方は別ですが、アルミの単純一次折り曲げをする場合、万力に挟んだりアングルを利用したりして曲げたことがあるかと思います。その場合「内側直角」に曲げる事は幅が狭ければ比較的簡単ですが、曲げ幅が広くなると難しくなります。

 叩けば簡単ですが、トタン板等と違ってアルミ板は汚くなってしまいます。光沢の美しさを保つには打撃は禁物です。何とか単純な一次曲げだけでもきれいに曲げられないか考えてみました。(折り曲げ機などを使わずに)

 で、先ほどのアングルに挟んで押し板等で曲げる場合ですが、中央あたりがどうしても緩やかに曲がってしまいがちです。(ふくらみ へたれ 甘甘 とか、中だるみと言ったりします)これはなぜかと考えまして「シーソー効果」では無いかと考えました。

 シーソー効果とは・・・、私が勝手に命名した物です。アルミ板をアングル等で挟んで押し板をあてがい、ぐいっと曲げたとします。すると両端は内側直角に曲がりますが、中程は大抵緩やかになってしまいます。こうなると中程をさらに押しても時すでに遅くダメです。そこでついつい「ひっぱたいて」しまうわけです。

 この様な現象がなぜ起きてしまうのか考えてみるに、多分押し曲げる位置で力加減が違う必要があるのでは?という推論に達しました。つまり「両端より中央よりの部分」が「シーソー効果」により「強い力が必要」ではないかと。

 要するに中央寄りよりも両端が先に曲がってしまうと(シーソー的に)中央あたりは「緩やかに曲がってしまい」「突っ張る」ようになる・・・と、いう訳です。

 それなら中央あたりにプレッシャー(笑)をかけ、押してゆけば良いのでは・・・と思うのですが、フリーハンドではその加減が難しい、そこで「トルクレンチ」のような考えを導入して治具を作ってみます。

 (と、いうのが始まり)