林メカトロ工作研究室
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原始万能パンチャーを作ろう
(小学生の皆さん、夏休みの工作にどうですか?)。


ほとんど木工作です。

 
今までパンチャーは色々作ってきましたが、そのほとんどはある程度の工具・道具がないと作れない物でした、そこで大した工具・道具も使わずに小学生にも作れて材料費も300円ぐらいのパンチャーを考案しましたので発表します。工作大好きの小学生の皆さんお父さん、夏休みの工作にピッタリだし、作ったパンチャーでひと味ちがった工作も出来ますから是非挑戦してみてください。
 
 パンチャーで一番大事なのは雄と雌です。普通は穴をあけたり削ったりして作るのですが小学生の皆さんにはちょっと無理です(危ないし)そこで何か代用品が無いか探しました。最初に目についたのがこれ、「地震対策用の板」と「テーパーリーマー」です。地震対策用の板にあいている穴とリーマーの丸棒の直径がピッタリ5ミリでした、おまけに板の方の穴はテーパーになっていてそれこそパンチャーにWピッタリ。

 日曜大工センター等でこのような組み合わせを探すのも楽しいです。要は雄と雌がピッタリ合えば良いのです(もっともリーマーは工具としてそれなりの値段がありますので、丸棒を探した方が良いです。私は時間がないので今回はこれでやります)

  
 丸棒の先端を Uの字に丸ヤスリで削ります。机の縁などにしっかり押しつけて丸ヤスリで削ります。急ぐと外れたりして逆に時間がかかりますからゆっくりやります。5分とかかりませんから慎重に、(これが出来たら半分終わったようなものです)ところでヤスリの力の入れ方ですが、押すときのみ力を入れます。引くときは力を入れません、一押し一押し念を込めて押します。理由は・・・後で角穴の仕上げの項で。

 この丸ヤスリで丸棒の先端を削る・・・という作業は小学生の皆さんは勿論普通の方はやったことが無いかもしれません、このヤスリがけは新入社員の研修に取り入れている会社もあるぐらいです(丸ヤスリじゃ無いけど)是非一度経験してみてください、ひたすらヤスリ掛けというのは精神修行にもってこいです。必殺仕事人に出てくる飾り職人の境地になれるかも?。


完成、地震対策用の板は切るのも面倒なのでこのまま使います。
(この板は軟鉄より強い)。


次は木工作です。
 雄と雌は出来ました。パンチャーで2番目に大事なのはこの雄雌を正確に合わせることです。少しでもずれると雄も雌も傷んで使い物にならなくなります。市販のパンチャーはその為かなりガッチリした構造になってます。私はこの部分に「4点支持方式」を採用しました。ちょっと分かりづらいと思いますがカメラの三脚は3点支持です。4点支持は椅子とかテーブルがそうです。4点支持の欠点は下が平らでないとガタが出ることです。

 そこでこの4点支持の欠点を克服するため「V字2段受け式」にすることにしました(まぁこんな事はどうでも良いです)木材の寸法は適当です。大体こんな格好になっていればOKです。

 蛇足
 この4点支持はボーイスカウトなんかでも教えていたような気がします(違っていたらゴメン)最近は見かけませんが、昔は風呂場の近くに杭で作ったこれがあり、廃材や間伐材を乗せて適当な長さにノコギリで切るのが子供の仕事でした、私も散々薪切り・薪割りをやらされた思い出があります。子供心に「なんで乗せた丸太がビクとも動かないんだろう?」なんて思ったものです。こんなところで役に立つとは。

 私が作った物は、ベニヤ板は厚さ10ミリで縦横 100*200ミリぐらいです(端材使用)後は貫(ぬき)と呼ばれる木材と5ミリのベニヤ少々です。

 
 釘で簡単に止めていますが「打撃系」の工具ですのでガタが出るとマズイです。必ず木工ボンドを使用してガッチリ作ります(釘で止めていますが何度も曲げてしまいました。釘打ちはやってないと腕が落ちるみたい)

 この組み立ての注意点。
 上下のV字溝は出来るだけ直角になるように組み立てます。多少の狂い(1度から2度程度)はかまいませんが、あまり狂うと打撃の力が分散・・・というかずれて好ましくありません(実は大幅にずれてしまった、ベニヤで作って良かったぁー)

完成。


使い方の詳細は明日です。
 このパンチャーを【原始万能パンチャー】と名付けます。頭に「原始」と付くのは見るからに原始的だからです。「万能」が付くのは後で気が付いたのですが、雄雌を取り替えるだけであらゆる寸法にこの台が使えるからです。まさに万能(もっともその分操作に慣れる必要がありますが)。


 ところでこの原始万能パンチャーを使うにあたり、多少の腕が必要です。90ミリの釘を木材に曲げずに5本ぐらい打ち込む事が出来る程度の腕前が必要です。最近では釘を打つ事などあまり機会が無いと思います。出来ると思っていても自転車と違って忘れるっポイ、腕が落ちる?(アパートなんか釘厳禁とかだったりして)私も久しぶりに指をひっぱたいてしまいました。あっ これは歳のせいか?(ウケねらいではなく本当にひっぱたいた)(>_<)

使ってみる。

  
 使い方といっても見たまんまです。V字受けに丸棒を押しつけて下に降ろし、受け台の穴に合わせ、静かに(受け台がずれないように)抜いて隙間に加工物を入れ、金槌でブッタたくだけです。最初、指で丸棒を押さえていたんですが、両側に釘を打って輪ゴムを引っかけ、丸棒をある程度保持するようにしたら、とたんに使いやすくなりました。

 
1ミリ厚のアルミ板です。軽い一撃で抜くことが出来ます。

 
前に作った8ミリと10ミリのパンチャーの雄雌もそのまま使えました。


やたらに抜きたくなっちゃう。
 雄と雌さえ手に入れば色々な穴径に対応する事が出来ます。ところで「正確な位置のパンチ法」をする手段を忘れていました。実に簡単です。打ち抜き棒と同じ丸棒の先端を鉛筆削りするだけです。あけたい位置に十字印しを書いておき、最初にそれに合わせるだけです。その後打ち抜けばOKとそれだけ、センターポンチの必要もありません。

正確な位置にパンチする方法
(ここで言う正確とはプラスマイナス 0.2ミリ以下程度の事です)。

 受け台(雌の方です)をある程度固定しておいた方が良いので、簡単に両面テープで固定します。ほかの径に取り替えないのであればしっかり固定してもかまいません。


このように雄雌を合体させ、静かに木台まで降ろして接着します。その後、抜き取ります。

 打ち抜き棒(この場合直径5ミリ)と同じ太さの丸棒の先を鉛筆削りした物を装着します。私は真鍮丸棒で作りましたが、木の丸棒でもかまいません、木の場合、紙を巻いて鉛筆と同じ太さにし、電動鉛筆削りで削るのはどうでしょうか、(削った後、紙は取り去る)とにかく芯が出るように削ればOKです。


その尖った先とあけたい位置の十字印しを合わせます。


打ち抜き棒と取り替え、ひっぱたいて終わりです。

 急いでやったのでちょっと失敗っポイところもありますが、プラスマイナス 0.2ミリ以下ぐらいの精度は出ていると思います。ギヤとかの軸穴と違いこのぐらいの精度が出せれば普通の工作では十分だと思います。



 原始万能パンチャーの項終わり。 2006.7.9















【メカトロ工作のパンチャー】 前編
 メカトロ工作でアルミ板やトタン板等に穴をあけるにはドリルキリサキよりもパンチャーの方がきれいにあけることが出来ます。穴径ですが「3ミリ 6ミリ10ミリ」の三種類あれば大抵は間に合います。

 ところで10ミリの丸棒は割と手に入りやすいと思いますが、3ミリと6ミリはなかなか入手が難しいかもしれません、そこでどこでも手に入る半ねじタイプ(ねじが途中までしか切ってない奴)のキャップスクリューボルトを使って作りたいと思います。旋盤があれば簡単なんですが、持っている人はこんな事やらないと思いますので、ドリルとサンダーだけでやります。

  
 丸棒のど真ん中に穴をあける必要があります。旋盤なしでやるには工夫が必要です。今回は真鍮パイプで入れ子式でやります。(なんか前にもやったような気がしますが今回は少し進歩してるかも?、簡単だし)

 10ミリ 9ミリ 8ミリ 7ミリの真鍮パイプを20ミリぐらいに切り、叩き込んでいきます。日曜大工センターで買ってきたパイプはあんまり正確ではありませんでした、適当にヤスリで修正する必要があります。(大したことはありません)最後にセンタードリル(中間は6ミリ)を入れれば完成です。

 
小さいアルミアングルでサンドイッチにし、輪ゴムで止めます。


糸でぐるぐる巻きにします。50回ぐらいは巻きます。

 加工する丸棒です。下の一本は鉛筆削りした「ガイド棒」です。10ミリのパンチャーはそのまま刃を付ければよいのでセンター穴をあけるのは2本だけです。

 
 ドリルに10ミリの丸棒をくわえてアングルの隙間に入れ、開かないように止めて中心穴(センター)をあけます。油もしっかり付けます。センタードリルはクランププライヤーでしっかり固定します。全体重をかけないとあきません、この作業はかなりの重労働です。(笑)

 
疲れますけど精度は旋盤並です。

 センターホールがあいたら一度分解します。次は6ミリの穴をさらにあけるわけですが、これはもっと疲れます。旋盤の威力がわかるというものです。









【メカトロ工作のパンチャー】後編

 
 次に6ミリの穴をあけるため、センタードリルを取り外して6ミリのキリサキをセットします。やり方は前と同じです。しかし最低でも20ミリほど掘りますのでかなりの力仕事になります。良く切れるキリサキを使わないとそれこそ息が切れます。(笑)体力に自信の無い方には無理かもしれません、後でやります3ミリで先にあけておくといったやり方をしないと無理かもしれません。(キリサキを焼かないように注意が必要です)

 開け終わったらキャップスクリューボルトを入れて横腹に「ホーローセット」で一発止めた後、ボルトの頭を切断します。

 
 次に今度は3ミリのキリサキを取り付ける準備をします。前に作った筒は内径6ミリですので、真鍮パイプ6ミリ 5ミリ 4ミリを20ミリに切り、叩き込みます。最後に3ミリのキリサキを入れてまたまたアングルでサンドイッチにします。ドリル作業は一緒です。


3ミリのキャップスクリューボルトを入れて横腹から固定し、頭を切り落とします。

 これで主要部品はできました。上から 「案内用棒」 「3ミリビット」 「6ミリビット」 「10ミリビット」です。ビットはまだ先端を研磨していません、この研磨は 「UVカット」と言うのをやリます。紫外線カット(笑)ではありません、打ち抜き棒の先端ですが、今まで「竹槍カット」とか「Uの字カット」「Vの字カット」とかやってきました。文房具のパンチャーはVの字カットです。(横から覗いてみて下さい)

 長年の研究の結果(笑)、アルミ板などのパンチには「U+Vの字カット」が一番きれいに打ち抜けるみたいなのです。それを次回実践します。


 


【研磨】

 
 アルミ板等の打ち抜きには「UVカット」が一番なんて前回書いてしまいましたが、何となくかっこよいから勢いで書いてしまっただけで大した内容はありません、紫外線が最近話題になっているのでちょっと引っかけただけです。m(_ _)m

 少しは意味があります。右写真黒の矢印がVのよに直線で、赤の矢印部分がUの字というだけです。前に「完全にVの字カット」(事務用品のパンチャーのように)にして打ち抜いてみたら、最後の「抜け」の時、表面に変な跡がついてしまうのです。(光の反射で強調されるから特に)その後、打ち抜きの行程でこの跡が残らない方法を思いつきましが、なに、2段打ち抜きをするだけです。

 打ち抜いた後、引き抜きやすいように手元の方に横棒を取り付けます。途中できつくなるのが好ましいのでこの様に少し折り曲げてから叩き込みます。

 これで、3ミリ 6ミリ 10ミリと、+案内棒が出来ました。始めに作った5ミリを入れると4種類の穴が打ち抜けます。

 これで工作ベース300パンチャーモードの全部品が出来ました。黄色のバッテンは穴同士が接近しすぎて失敗したところです。(この板は地震対策用の平鉄です)

 ところでこの打ち抜き棒を支えるコの字型金具ですが、V字受けになっています。打ち抜き棒の穴径にした方が良さそうに思うでしょうが、(支持しやすくて使いやすそうに思えるでしょうが)実はこのV字の方が使いやすいのです。その辺のところは実践編で。


 私はこの工作ベース300を「机か工作台」に固定して使うことにこだわってきましたが、ここにきて「専用の台に取り付けるのもよいかもしれない」と思うようになってきました。応用範囲が広がる予感がします。

 

 使ってみる。   (現在トップページです)



(始まりはこちらです)

使ってみます。
 早速使ってみます。アルミ板を使うともったいないのでまたまた工作用紙です。練習にもちょうどよいです。縦横に線が引いてありますから正確な位置にあくかどうかの確認も出来ます。

     
 V字溝付きコの字型金具を取り付けます。どこに取り付けるかによってかなりの範囲がカバー出来ます。今回は真ん中に(工作ベース300の)取り付けました。三角定規を使って直角(大体)に取り付けます。次に受け台を固定します。写真は10ミリに合わせているところです。受け台(地震対策用の平鉄製)はクランプで簡単にとめています。

        
 始めに鉛筆削りした丸棒の先端と、あけたい位置の中心を合わせます。そして打ち抜き棒と取り替えて金槌でひっぱたきます。叩く力は実践してください、一撃で打ち抜けるぎりぎりの力加減を拾得します。(すぐなれます)

   
 打ち抜き棒を支える方法は市販品(高いですよー)ではシリンダー式が普通ですが私はあえてV字にしました。その訳は左写真のように打ち抜いた後「そのまま手元にはずせる」からです。打ち抜き棒は加工物にきつくはまっています。(紙なら楽勝だけどアルミ板だときついです)手元にとってひねりながら抜き取れば楽だし板に変な曲げを付ける心配もありません、右写真は等間隔にあけた例です。

 この作業は「打ち抜く」時、棒をある程度支えておくことが必要です。その為なれないと指をひっぱたく可能性(笑)があります。そこで実践する前に是非「釘打ち」の練習をしていただきたい・・・と、こういうわ訳です。

   
次は6ミリです。手順は同じです。


穴の配列に意味はありません、練習です。

  
同じく3ミリです。


3ミリ 6ミリ 10ミリの打ち抜き実験でした。




【竹槍カットで3ミリパンチャー】

 3ミリの鋼棒なんてなかなか手に入らないかなーなんて考えていたんですが、何気なく千枚通しの根本をノギスで測ってみたらなんと「ぴったり3ミリ」、これはもうつかうっきゃない。(笑)

 というわけでこの100円ショップで買ってきた「千枚通し」を使います。(3ミリ)このほか必要な材料や工具は、電気ドリル(電池ドリル) 3ミリのドリルキリサキ 6ミリのドリルキリサキ 金ハサミ 目立てヤスリ 丸ヤスリ 地震対策用の平鉄(適当) 金槌 ペンチ ニッパ アルミ板少々 あとは工作ベース300 小さなシャコ万一個 ぐらいですか。



竹槍カットは使えるか?

 パンチャーの打ち抜きビット先端の研磨法に「竹槍カット」と言うのがあります。単純に斜めに切り落としただけですが、3ミリ以下の太さにはかなり有効だと思います。と言ってもやったことがないので今回の千枚通しを使ったもので実践してみようと思います。

   
 まずは針を引っこ抜きます。この様にペンチとニッパを使ってテコの応用でやると簡単に抜けます。その時ペンチに幅広輪ゴムでお助け巻き(笑)をすると作業が楽です。



  
 以外と握りに入っている部分の長さが短いのでちょっと当てがはずれました。先のとがった方からナットを叩き込み、握りの穴に爪楊枝を差し込んでからとがった方から叩き込みました。ちょっと不満が残りますがこれで一応進めます。


せっせと平ヤスリで斜めに削り落とします。

 工作ベース300をパンチャーモードにして試してみました。今日は時間が無いのではしょります。とりあえず1ミリのアルミ板に穴をあけてみました。スコンと抜けました。子細は次の機会に。


 と、思ったんですがその前にどうしても金属片の折り曲げ(それも正確に)をしなくてはならない事に気がつきました。簡単に【打撃式】でやろうと思います。万力に挟んで金槌でひっぱたくという作業です。皆様もやったことがあると思いますがここで問題です。

 「正確な位置で曲げることが出来るか」という問題です。私の経験ですと「曲がる事は曲がるが正確とは言い難い・・・」です。その理由をじっくり考えてみました。(待合室で)

 で、結論は「曲げたいところをひっぱたいていない」のではないか(笑)と、気がついたのです。金属の曲げに対する復元力と慣性の法則(えらそうに)を考え、ちょっとした小道具(治具と言えるかな?)を思いつきました。ほんでもって実践。












工作ベース300を使いこなす。
現在、直線打ち抜きガイドと3・6・10ミリのパンチャーアタッチメントのセット販売を準備中です。
(アタッチメント単体も可)








ハンドニブラ
 今日は 04 として「7セグメントの角穴」をやる予定でしたが、色々考えてみて「工作ベース300」を使うほどの事はない?、「ハンドニブラ」があればホビーとして十分ではないか・・・なんて思ったわけです。そこでハンドニブラを使う上での問題は何かなと考えると、まずはハンドニブラの「頭を突っ込む穴をあけなければならない」という問題でしょうか。

 でもってどのぐらいの穴が必要かというと実測で直径11ミリ以上です。まぁ普通は10ミリをあけた後、テーパーリーマーか角ヤスリで少し広げて突っ込んでから、というのが私も皆様もやってる方法ではないかと思います。

 ところで最初に10ミリぐらいの穴のあけ方ですがこれが千差万別、普通はドリルで・・・ということになりますが、「バリが出まくり」、バリの出ないあけ方もありますが面倒くさいです。ハンドニブラのアゴは 2.2ミリぐらいしかありませんのでこのバリがあると食いつきません、それにドリルなんか使うと、パネルに大抵キズを付けてしまいます(私だけかもしれないけど)。

 となるとやっぱり「パンチャー」が欲しい、しかし10ミリもの大穴?をあける事が出来るパンチャーというものはあんまり市販品にはありません、昔真空管セットを作っていたとき使っていた「シャーシパンチ」だって最初に10ミリの穴は別の方法でなんとかあけなければなりませんでした(昭和は遠くになりにけり)
 2006.7.7記