林メカトロ工作支援室
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工作ベース300導入編最後の工作【折り曲げ機モード】です。製品版の10%ぐらいの能力ですが、「真空管セットのシャーシ」や「ロボットのブラケット」の一部ぐらいは折り曲げ可能です。電動工具は電気ドリルとディスクサンダーだけです。工作ベース300の前身の万能工作台か万力2台でも製作可能です。能力は2ミリのアルミ板まで、折り曲げ幅は200ミリまでです。一次折り曲げだけです。(この辺のあたりは作る材料の種類と大きさでかわりますし、応用です) 実はアルミ板が厚さ2ミリで 200*300ミリしか手に入らなかったのでこうなりました。 |
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日曜大工センターで購入しました。上から「パインムクザイ 910*40*30」「羽子板ボルト NO.30-4」「穴あきフラットバー NO.24-1」(表示の通り)です。木材以外は地震対策用コーナーにありました。全国どこでも似たような物だと思います。全部で |
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切るのが面倒だナーなんて思っていたんですが、木材以外は丁度良いし、フラットバーには適度に6ミリの穴があいてたりして木材を切って穴をあけるだけですみました。 |
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![]() ボルト・ナットでガッチリ結合し、長さ 360ミリの複合材のできあがりです。 |
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これは天井梁というかアームです。本当はH鋼かH形状又は鋳物で作りたいところですが、厚さ2ミリのアルミ板まで・幅
200ミリまでならこれで十分だと思います。もっと厚い板や硬い材料、折り曲げ幅ももっと長く・・・をお望みならそれなりに補強延長及びトラス構造とか発展させれば良いわけです。(私は2メートルのを作ったことがある、現場で作り、現場で分解した、まさにマクガイバーだ) 下の部分も同じ構造で作っていけば「専用の折り曲げ機」になりますが、私は最終的に分解してトランクに入れて持ち運びたいので工作ベース300にこだわりたいと思います。(それにほらっ、折り曲げばっかりやるのが工作じゃないし) |
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さて、昨日のつづきです。羽子板ボルトのネジの部分は上の方 50ミリぐらいしかありません、全て手作りなら適当に決められるんですが、市販品を使うのであればその辺も考えなければなりません、そこで大体の配置を考えてみました。 |
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![]() 左右の支柱です。元々あいていた穴を利用します。 ![]() ![]() |
工作ベース300に取り付けてみました。工作ベース300を使わずにアングル2本で挟んでもOKです。昨日作ったアームの左右に穴をあけて差し込みます。穴はバカ穴で良いです。今のところ精密に作る必要はありません。 |
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一番面倒な加工、「押し刃」です。地震対策用フラットバーを 240ミリに切りました。
200ミリに切るつもりでしたが、別に長くても良いということに気が付きましたので。 この板は3ミリ厚です。 45度ではマズイので4ミリの所にテープを貼り、マジックで塗りつぶします。サンダーで削る場合、このぐらいしっかり印ししておかないと・・・というかテンションをあげる為にも役立ちます。って なーにいってんだか、サンダー作業をする前は相撲じゃないけど塩をまくぐらいの気合いを入れないとダメです。「やるぞーーーっ」「おーーーっ」てなもんです。(なにしろ去年大怪我したモンで) |
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テープをはがしたら切削開始、片刃に尖らせるのです。角度は 40度ぐらいです。これはもう慎重に丁寧にやらねばなりません、私は5分ほどかかりました。この「押し刃」は折曲機の命です。 |
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![]() こんな具合、疲れます。 ![]() 押し刃完成。 ![]() |
ほとんど完成、ここまで電気ドリルとディスクサンダーしか使っていません、残りはM台だけですが、別に作る必要はありません、下の土台の隙間を調整するだけです。 |
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ちょっと折り曲げについての考察を。 (今回の折り曲げ法は割と一般的なやり方の一つです) |
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私が持っているカタログ(昭和30年代頃の奴)の折曲機の部品で、肝心の折り曲げの部分の部材断面略図です。尖った方を「押し刃」、受ける方を「M台」と仮に呼びます。(名称は書いてなかった) M台の方は4種類ありました。少しずつ形状が違います。考えてみると折曲機って「鉄板専用?」だったのではないでしょうか、(機械として)ホーザンのもアルミ板専用とは書いてなかったような気がします。私も持っていますがもっぱらトタン板を曲げていました。(アルミ板なぞ買えなかった) |
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さて、カタログに載っているようなM台は作れそうにありません、そこでこのような形になるのですがここで疑問が出ます。クエスチョンマークの寸法はどのぐらいが良いのでしょうか、幅が狭ければ鋭く曲がりそうですが狭いほど膨大な押し下げ力が必要です。何トンにもなるかもしれません、広ければ力は少なくてすみそうですがなんかRが付きそうです。 ここで「復元力と破壊力」(点)という問題が出てきます。(私は工業高校や工業大学には無縁なので用語・用例間違っていたらゴメンナサイ、漠然と言っているだけです)スプリングの「引きバネ」も引っ張って行くとある長さから元に戻らなくなります。タダの針金、ピアノ線、アルミ線でコイルを作り、引っ張っていくと明らかにアルミ線で作ったのが一番戻りが悪いです。 これは当然アルミの破壊力(点)が弱い・・・と言うか曲がりやすいと言えます。(当たり前、とか言われそうですが)するとM台の?の幅は鉄なんかよりずっと狭くて良いのではと思われます。実験では1ミリ厚のアルミ板で6ミリぐらい、2ミリのアルミ板で12ミリぐらいからが良さそうでした、勿論折り曲げ幅にもよりますし、力のかけ具合もあります。作った装置の堅牢さも関係してきます。装置が湾曲しない範囲です。湾曲すると「中だるみ」が生じますし、ヘタすると吹っ飛ぶ事もあります。(折り曲げ幅 120ミリでテストの最中に起きた) もう一つ大事な問題があります。それは「折り曲げ位置の正確さ」です。いくら強力に曲げられても想定した位置で曲がってくれなくては困ります。一般に「キズのある部分は弱い」と言います。アルミにかぎらずキズを付けてそこから曲げる「肉抜き法」という加工方法があります。この性質を利用してアルミ板にキズを付け、そこに「押し刃」をあてがって曲げれば「絶対そこから曲がる」ということになります。(キズの付け方によっては弱くなる、その辺後述)あるいは曲げたいところを中心にして溝になるようにテープを貼り、その溝に「押し刃」をあてがって曲げても正確にそこから曲がると思います。 金属板の折り曲げ法は何種類かありますが、この「チョッピリ肉抜き+押し刃あてがい」方式が一番正確に曲げることが出来るのではないかと私は思います。装置自体もいい加減な造りで良いというオマケ付きです。なんだかだんだん訳が分からなくなりそうなのでこの辺で実際にやってみましょう。 |
M台の参考例 ![]() これは試作品のM台、板は2ミリ厚のアルミ板でテスト幅 170ミリです。(製作には一部溶接使用) ![]() ![]() |
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土台をアングルで組んだ場合は必要ないのですが、工作ベース300の場合エッジが鋭いのでカバーをかけます。缶チューハイかビールの空き缶でコの字にくるみました。 |
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![]() まずは1ミリ厚の曲げ実験、隙間が6ミリになるようにスペーサーを入れて支柱を固定します。 ![]() 幅 200ミリを曲げてみます。 ![]() ![]() このボルトを締めると曲がります。あっさりと90度曲がりました。 ![]() 1ミリだったら全く問題なしです。(また無駄な物を曲げてしまった :石川) ![]() ![]() |
次は2ミリのアルミ板、曲げたいところをアクリルカッターで少しこそげ落としします。「肉抜き」と言うよりただスジを作って「押し刃」を引っかけるだけです。正確に曲げるためには有効な手です。 |
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失敗![]() ![]() ![]() |
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失敗です。さぁこれからっという時に押し刃支柱がひん曲がってしまいました。いやあアルミといえどなめたらアカン、もっとも「羽子板ボルト」自体芯が出てないし、こうなることは想定の範囲内?。(それでも板の方もチョッピリ曲がっています) |
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![]() ![]() あまっていたフラットバーで補強しました。 ![]() ![]() 仕切直し、今度は大丈夫です。 ![]() ![]() |
幅200ミリのアルミ板がなかったので 170ミリです。今回の工作は地震対策用の部材を使ったのでチョッピリ苦しい展開になりました。(電気ドリルとサンダーだけでは限界?)M台は12ミリでやりましたが、16ミリに広げればもう少し簡単に曲がると思います。アルミ板の特性でそんなにRは付かないと思います。前半でその点を説明したかったのですが、うまく説明出来ませんでした、ある例をあげると簡単に説明出来るのですが「15禁」になってしまうのでちょっとマズイのです。(簡単に言うと「負け癖」の部類) 今回の折り曲げ実験中、「中だるみ」してしまった部分を矯正する方法を思いついてしまいました。もし中だるみしてしまったらM台の中央付近の間隔を狭めてもう一度曲げを行えば良いことがわかりました。中だるみの部分だけ曲げ直すのです。(本当の事を言いますと中央部分をきっちり固定するのを忘れて曲げてしまい、結果的に中央部分にRが付いてしまったのです) |
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「押し刃」、まるで機械部品のような雰囲気になりました。(って、機械部品だって)今回は単純な一次折り曲げだけでしたが、スリットを入れたり別の押し刃を作れば色々対応出来ます。ボルトを締めて曲げていくやり方はちょっとダサイですが、別の仕掛け(ジャッキとか)を考えるのも良いかもしれません。(結構いろんな人がやってる) |
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ここまでは、市販の材料で、電気ドリルとディスクサンダーがあれば自作出来る工作でした、試作品では「ボルト」を締める方法ではなくて「リンクレバー方式」です。「押し刃」もM台も全く違う形状です。曲げ方も一次二次三次四次五次曲げまで考えています。まさに「万能折曲機」という名にふさわしいと確信しています。問題は「いつになったら市販できるか?」です。今年中にはなんとかしたいナー。
2006.2.16記 |
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