らくらくドリル(手動ボール盤)の作り方。( っていうかアイデア) 戻る。
2002.10.30記
現在、(株)学研様より、【木の実の穴あけなんでもドリル】という教材工具が、小学生向けに発売されています。元々私が作っていたのですが、規模が全国になったため「つばめ三条市」の「(株)角利製作所」様に製造をお願いしました。学校に出入りしている教材屋さんに注文すれば購入出来ます。 ドングリ等に穴をあける工具なんですが、今回大幅に改良しまして、「工作初心者」の方から「プロ」の方まで納得出来る創作工具にしましたので、是非作ってみてください、用途は「小さなお子さまや、お孫様」用の安全工作工具として、及び「ホビー」の皆様「プロ」の皆様用のお助け創作工具になる・と、確信しております。(もちろん契約内容に接触しない内容になっています) 穴あけ工具で一番問題になるのは、「キリサキ」(ドリルの刃)の保持の仕方です。電気ドリルやボール盤等では「三爪チャック」という保持具を使います。まともな製品ですとこれだけで3.500円はします。このキリサキを保持する方法はこのほかにも色々ありますが、有名な「ミニ旋盤を使いこなす本」の49ページの「コレットチャック」の項を見ていて【変形コレットチャック】という方法(と、言えるかな?)をあみ出しました。(基本的にはすでにある方法と思いますが) (要するにチャックの代わりを安く作ろう・・・というシケた考えです) |
上の方、10ミリのステンレス丸棒です。中心に5.4ミリ(注1)の穴(深さ50ミリ)があいており、6*1.0ミリのタップで有効深さ15ミリのネジが切ってあります。又、端から13ミリの所に2.7ミリ(注2)の横貫通穴があいており、3*0.5ミリタップでネジが切られています。 中間はただのボルトです。(ユニクロメッキ 6*10ミリ)中心に貫通穴があいてます。この写真では下のキリサキに合わせて2.5ミリの穴径(注3)になっています。 この変形コレットチャック(と、呼ばせてください)の良い点は、普通のチャックと違って「旋盤」の貫通穴のように「キリサキ」をもぐらせる事が出来る点です。(普通のチャックでは底が浅い)そこで次のようなセットの仕方が出来ます。 |
このように「長く出して」固定する、または右のように「極端に短くして」固定する・・・と言うような事が出来ます。これにより、1.0ミリより細いキリサキでも「安定」した穴あけ作業が出来ます。このボルトはただのガイドです。キリサキを固定するには横に貫通させた穴にタップでネジを切り、ビスか「ホーローセット」で左右から締め付けます。1.0ミリ以下のキリの時は力の配分が重要です。(方締めすると折れるかも) |
注1 普通、6*1.0ミリのタップを立てる場合の下穴は5.0ミリとか5.1ミリですが、ステンレスの丸棒にこんな加工をするには「ミニ旋盤」だとちょっときついです。(小型旋盤なら簡単ですが)しかしこの場合、ただキリサキの「ガイド」になってくれれば良いので5.4ミリの「バカ穴チョッピリねじ切り」で十分です。だってほら「ホビー」ですから。 注2 この3*0.5ミリのタップにしたって、下穴2.5ミリでは絶対「タップをバキバキ」折ることになります。(私はヘタなので今まで何本折ったか)ホビーなら2.7ミリで十分。これも 注3 この6*10ミリボルトへの「貫通穴」ですが、セットしたい「キリサキ」に合わせれば良いわけです。(このへんがコレットチャックっぽい?)私の実験では4.0ミリまではOKでした、3*0.5ミリタップの保持部分は4.0ミリですからタップ立て器にもなりますね。 |
で、 完成したのがこれです。
私は全て鉄で作りましたが「台とか支柱」とかは木材とかベニヤでも良い訳です。溶接機がなくてもビスやボルト締めでも良いわけで、工作環境に合わせてご研究下さい。(つまみは鍋のふたの取ってが良いかも) 問題はシャフトとボルトの貫通穴でしょう、シャフトは旋盤加工でないとちょっと無理です。私のトップページに材料の購入リンクがありますので旋盤をお持ちでない方は通販がよろしいかと思います。多分1.000円ぐらいで製作してくださると思います。 ボルトの貫通穴ですが、旋盤をお持ちでない方はこの際是非「ツインボール旋盤」を作りませんか、この「貫通穴」をあけたボルトは使い道が色々あります。「軸受け」としても使えます。ロボットの部品としても使い道があると思います。 |
もう一度今回の売りの部分を載せます。今回は3ミリのホーローセット2個で止めましたが、4ミリぐらいの方が良さそうです。出来るだけボルトの最後のネジ山近くに開けると「キリサキ」への負担が軽くなります。 |
ドングリに穴をあけている所、及び「意味」もなく「三角定規」に穴をあけているところです。ほとんど音がしませんので、深夜に「プリント基板」の穴開けなどに良いのではないでしょうか。 また、台(本体)下にキリサキが突き抜けるような設定も出来ますので、本箱とか木工工作の木ねじ下穴開けとか、スプリング製造とかコイル巻きとか、とにかくアイデアは出てくると思います。 |
今回は幼稚園に通う子がいる「かわいい姪」にせがまれて作りました。なんでも遠足で山ほどドングリを拾ってきたとか、何か作って作品展に出すそうです。保育園・幼稚園・小学校低学年のお子さま・お孫様をお持ちのお父様・おじいさま、作ってあげてはいかがでしょう。 |
私の建前は金儲け(へへ)ですが、本音は工作人間の増殖?です。(ほんとか、逆じゃないの?って)最近は「お仕着せ」のセットばかりでうんざりです。(金がないので買えないだけ?)実を言うと最近、発達が早くて技術革新に付いていけないのです。こうなったら「自己中」でいくしかないもんね、これからも役に立ちそうな・たたないような創作工具を発表しますのでどうぞ宜しく。(ヤッシロこと大久保より)
2002.10.30記