〔溶接例・4〕


マブチモーター付き溶接ホルダーです。
バイブレーション機能を付けたつもりです。
2003.10.19

 ちょっと舌足らずでした、抵抗アーク溶接の手法で重要な事を忘れていました。「アーク」の発生法です。溶接棒の先端を母材に接触させてアークをまず発生させるのですが、最初はこれがなかなか安定しなくて難しいのです。強烈な光が発生しますし、火の玉も飛びます。大体どこで発生しているかということもわからないと思います。遮光面を通しても最初は「まず」わからないでしょう。

 そこでまずこれです。これはハロゲンランプの500W投光器です。300Wぐらいでも良いです。これを溶接したい部分に1メートルぐらいの距離から照射します。するとアークを発生しなくても溶接面(遮光面)を通して周りが見えます。丁度濃いサングラスを通したような感じです。

 まずは溶接など考えずにアークを飛ばしてみましょう、やり方は溶接棒の先端を母材にとにかくあてがってください、一瞬の火花のあと「溶接棒の先端が母材に溶着」します。すかさずホルダーを「前後左右上下」に激しく振り、接触を断ちます。すかさずとは大体「0.5秒」以内です。こんな事をやっている内に「アークが持続する」タイミングというかコツというかホルダーの振り回しかたがわかってきます。(わからない内は先に進めません)

 つまり、溶接棒の先端を母材に接触させ、アークが発生したらわずかに浮かせます。大体1ミリから3ミリぐらいです。この距離が縮まれば先端が溶着し、遠のけばアークは途絶えます。溶接棒はどんどん溶けて短くなりますので、ホルダーを母材にちかずけなければなりません、この調整が「抵抗アーク溶接の手法」なのです。

 ところで溶接棒の先端をどの程度母材から離すかは「溶接棒の太さ・湿り気」「溶接電流」「母材の形や厚さ」「気象条件その他」(マジ)で変わります。ここではホビー的に弱電流(40Aぐらい)で薄い物に的を絞ります。

 話しは変わって実際に役に立ちそうな実験をしました。

 

 マブチモーターに変心おもりを取り付け、ホルダーに結束バンドで取り付け、「バイブレーションホルダー」なる物を作ってみました。私の発明ではなく市販品にもあります。最近は見かけませんが確かに存在しました。交流電源の周波数で振動するタイプで私も持っていましたがあまり使いやすかった記憶がありません。

 今回、機械的に振動させてみようと思い、(市販のはブザーみたいな機構だった)例のモーターで12Vでブン回してみました。なかなかの振動が溶接棒先端に伝わりました。

 
使用した溶接棒は1.6ミリと2.0ミリです。
電流は溶接最低と思われる40Aです。


40Aでは信じられないアークが発生しました。
普通ならすぐに溶着して取られるのに「持続」しました。

 
 1.6ミリの鉄板の突き合わせ溶接と隅肉溶接です。

 1.6ミリの鉄板で適当に隅肉溶接をしたところです。3回ほど繰り返したので厚くなっています。1.0ミリでも(その辺に無かった)出来そうな気がします。

 取られて(つまり張り付いてしまった)溶接棒です。こうなると薬の力がなくなり、アークを制御出来なくなって使用不可能です。振動ホルダー(今回の)を使ってからは皆無です。(離そうとして振り回すのでこのように曲がります)

 正常な溶接が終わったあとの溶接棒の先端です。中心の鉄棒より薬の方が出っ張っているのがわかると思います。薬のはげた溶接棒は使い物になりません。



2003.10.19


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