〔溶接例・3〕
隅肉溶接という手法です。
2003.10.18
隅肉溶接とは直角に交わる部分の溶接の事です。突き合わせ溶接とくらべ、溶接棒の先端がある程度制約されるので、比較的簡単に出来ます。そのかわりアークが途中でとぎれると「スラグ」により「巣」(この字で良かったかな?)が出来やすくなります。つまり空洞です。半田付けで言うところの「天ぷら半田」のような物です。修正はスラグを取り除いたあと、肉盛り溶接(更に上から溶接するだけ)します。
スラグとは、溶接棒についている薬が高温で溶けて溶接面に張り付いた物です。たしかヒュームとも言ったような気がします。これがないと溶接が成り立ちません、まずアーク発生時はアークそのものをコントロールして安定させます。(アークの方向を決める)そして熔解している鉄の表面を大気中の酸素から遮断します。アーク終了後は熔解面に張り付き、急激な冷却から表面を保護して鋼鉄化を防ぎます。ですから溶接後直ちにスラグを取り除いてはなりません、少なくとも5秒は待ちましょう。(なかなか冷えないような厚い物はもっと)
ところで待ちすぎると今度は剥がれにくくなります。3分以内に取り除く事をおすすめします。ところでところで張り付けたままでは何故いけないかと言いますと、いけないです。まずちゃんと熔解したか確認しなければなりません、それから間に水分が入ると非常に錆やすいです。(熔解面は乙女の柔肌のように・・・)
1.5ミリ厚で16*16の角パイプの横っ面に3ミリのフラットバーを隅肉溶接しようとしています。この場合溶接棒の先端はややフラットバーの方に向けます。理由はアークの熱が温度の上がりにくそうな3ミリの方に行くようにしないと薄い方が抜け落ちる(早く高温になる)からです。(ところで溶接中の写真は余裕が無くてとれません、長年溶接やってますがいつもドキドキです)
フラットバー同士の隅肉溶接です。これは3ミリ同士なので安心して溶接出来ます。(3ミリもあると簡単には熔解面が落下しません)
夜になってしまいました。今回作ったのは特殊組み立て梯子です。我が家の屋根の修理用です。私も年を取り、普通の大型梯子を振り回すことが出来なくなったので、屋根の上で組み立てられる軽い奴を作ろうとしています。
ゼロから始める・・・から、ちょっとヘビーになってしまいましたが、ロボット作りも大きくなってくると「アルミ板」とか「ジュラルミン」のほかに「鉄」とか「ステンレス」を使用する時代が来るかもしれません、特殊な材料も発明・開発されるでしょうが、ホビー的にはやっぱり「鉄」かなーなんて思いまして今回のシリーズになりました。次回はこの「抵抗アーク溶接法」の最大の難関、「取られる」及び「アークが維持出来ない」という難問を解決する方法を考えます。(何故考えるかと言いますと、私は40年の経験でどうってこと無いのですが、ほかに仕事を持っていらっしゃる皆様は体験する機会があまり無いと思いまして、絶対成功する方法をあみ出したいと思います)
物置に眠っている通称「家庭用溶接機」をパワーアップして使いこなしましょう、改造法は後ほど。
2003.10.18
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