〔溶接例・1〕
バッテリー溶接機を使った溶接例、その1。
2003.10.16
抵抗アーク溶接の作業姿勢として、「下付け法」「縦付け法」「天井付け法」の3種類があります。溶接棒にも「下付け用・縦付け用・天井付け用」の3種類があります。(兼用している物もあります)バッテリーを使ったアーク溶接では電流の微調整が出来ませんので(後ほど理由を)縦付けと天井付けは割愛します。(技を習得するだけでだいぶかかります)
最初のアークを発生させ、持続させるのにも技が必要ですがすぐに慣れると思います。(コツを飲み込んでいつでも安定して出来るようになるには多少時間が必要ですけど)それから溶接棒を動かす方法に「運棒法」という技術があります。また溶接の前準備として「ベビーサンダー」で角を落とす方法とか「ビート」を重ねる方法とか「点付け」による「熱変形防止法」とかありますので「極めたい方」は是非専門書(図書館にいっぱいあります)で数冊読んでください。
抵抗アーク溶接法はおもに「造船」とか「建築」とか「大型機械」用の技術です。細かい溶接にはあまり向いていません、(細かい作業にはTIG溶接の方が向いてますが装置が高い)しかし構造が簡単なのと材料・部品が手に入りやすいので、ホビー的になんとか使いこなしてみましょう。
溶接例その1 フラットバー(平鉄)とキャップスクリューボルトの溶接。
やみくもにやっても「ゴミ」が増えるだけですので、近い内に作る予定のパルスモーターを使った「ピニオンギア製作機」のカッター(モドキかなぁ)になる素材を作ります。
3*25フラットバー(平鉄)から「28ミリ」のホールソーを使って22ミリの円盤を作ります。中央に10ミリの穴をあけます。ボルトは6*1.0長さ30ミリの「キャップスクリューボルト」です。これらの寸法や材料は私の都合です。
たたき込みます。これだけでも良いのですが、念のため結合部を溶接しようというわけです。
溶接の下準備です。ボルトのネジ山に影響が無いように注意が必要です。ここでは鉄板に穴をあけて通し、隔離しています。右にある汚い平鉄は「アークの前飛ばし」用です。今回のようにターゲットが比較的小さな物はいきなり本番始めると「必ず」失敗します。(私だけかな?)かませているネジは単に高さを合わせているだけです。
溶接が終わりました。点付けという手法です。(単に2ヶ所溶接しただけです)溶接している最中の写真は「余裕」が無くてとれませんでした、捨て板の上でアークを発生させながら「タイミング」良く実行します。
あとはベビーサンダーで仕上げます。ところで下の方に丸い小さな玉があります。溶接中はこのような物が灼熱して四方に飛び散ります。この玉は「たまたま」ここに焼き付いたのです。これらから身を守るためにも服装にも注意が必要です。
軽く研磨して完成です。あとは刃をつけるだけです。このような部品は旋盤で作れますが、溶接を使えば大幅に切削が簡略出来るのがお分かりかと思います。今回は2ヶ所の点付けでしたが「ベタ付け」でも勿論良いです。でもそんなにしっかり溶接する必要無いし、ベタ付けはそれなりトラブルの元です。
バッテリー式抵抗アーク溶接法では「何故」電流制御が出来ないか・・・。
トランスを使った交流アーク溶接機では、鉄心の一部をスライドして「磁束密度」を変化させ、電流(電圧)を制御出来ますが、バッテリーのように直流ではそのような方法がとれません、唯一出来るのは3個の36Vか4個の48Vにつなぎかえる方法ぐらいです。その為市販されているバッテリー式溶接機でも内部で太いニクロム線を直列に入れてます。「ノッチ」で切り替えています。
ホビー的には「東京秋葉原の坂口電熱」で、太さ2ミリ以上のニクロム線を2メートルほど買ってくるか、(この店しか知らない)8番ぐらいのナマシ線でコイルを作るか、(ちょっと華奢)キャプタイヤケーブルを適当に丸めて(15メートルぐらいかな?)コイルを作り、電流抵抗を作るしかありません。(腕時計注意・私はパーにした)
腕力があれば2分の鉄筋でコイルを作ると安上がりです。所々にタップを出してワニグチで挟むと良いです。私も使ってました。直径10センチぐらいで30巻きもあれば良いです。(熱くなりますので置き場所注意)
2003.10.16
_