マブチモーターの出力軸を双方向に改造
2003.9.4
これからモーターを使った工作に入りますが、私が現在知る限り一番安くて強いモーターは「FK-280SA」です。「現金.com」さんで1台90円です。まとめて買うと更に安いです。これは模型工作用ではなくて民生用です。したがって電源電圧も12Vと高いですが、パワーは最高です。
私がこれに注目したのは整流子のブラシに「カーボンブラシ」を使っている点です。まだやっていませんが、かなり無理がきくと思います。ロボットにはもってこいだと思います。
直流モーターは電源をつなぐと「とにかくブンブン」まわります。電池駆動だとはじめは威勢が良いのですがそのうちへたってきます。これはロボットの関節駆動にはあまり良くありません、電子回路には「定電圧回路」とか「定電流回路」とかあります。電源電圧が変動しても一定の・・・という奴です。モーターにもこういうのが必要ではないでしょうか、そこで「負荷にかかわらず一定の速度で回転するモーター」を色々考えてみました。
ところがこの手の方法はものすごくあります。「電子ガバナーIC」とかなんとか・・・、金もかかるし複雑だし、なによりも電子回路の体積が結構あります。そこで最近はあまり使われない「機械ガバナー接点方式」でいこうと思います。(ホビーだし別にレコードとか回す訳ではないので性能は問題ないでしょう)
そこで、これをやるにはどうしても「モーターの軸が両方に出ている」必要があります。色々実験したんですが、機械式ガバナーは遠心力を利用するので「高回転」が望ましい・・・という事が分かりました。(低回転だとおもりを重くしなければならない)出力軸が片方だけですと構造的に複雑になってしまうので「今回の改造」となるわけです。
まずは寸法測定からです。出力軸は 10.5ミリ、反対側は 1.0ミリでした。
分解したいのですが、これが難物です。「模型用マブチモーター」は2ヶ所の「ベロ」をおこせば簡単に分解出来るのですが、民生用はそうはいきません、滅茶苦茶外皮が固いのです。そこで、
このような2ミリの「ピンバイス」(と、いうのかな)で、ベロの根本に穴を掘ります。大体1ミリ以上掘ります。そしてラジオペンチでベロを思いっきりおこします。ケガをしないように気を付けてください、とにかくこの鉄板は半端じゃない固さです。(写真撮るのを忘れるぐらい難物です。真剣に取り組まないと大怪我するかも、実は前に骨に突き刺した事がある)
ツメが起きたら抜き取るのですが、出力軸を台(テーブル)に押しつけて分離始めます。ブラシ関係を痛めないように色々工夫が必要です。
実はこのように怪しげなスリットがあって、ブラシを痛めないための治具とかありそうなのですが、私が実践して作ったところ「模型用」には効いても「民生用」にはちょっと無意味のようなところがあるや・に、思いました。爪楊枝を使った方がよっぽどうまくいくような気がします。
このように抜き取るときは「1ミリしかない」反対側のシャフトをつかんで分離します。
それからシャフトを慎重に抜き取ります。(永久磁石が強いんだよね)
でもって3つのパーツに分離しました。
各部の寸法を測っておきます。軸長 45ミリ、出力軸の先端からカラーまで 12.5ミリ、同・磁極面まで 17.0ミリ、電極側は 4.5ミリでした、これらを 4.5ミリ移動させます。
まずカラー(真鍮製)をペンチでつかんで回しながら引っ張ります。
次ぎにローターを移動させるのですが、コイルを傷付けないようにしなければなりません、色々考えた末「12ミリのボックスレンチ」が丁度良いことが分かりました。内側の隅が丸くなっているのが具合が良いです。ここで注意しなければならないことがもう一つあります。あまり一度に移動させると「集電部分」の電線が引っ張られて断線(及び破損)する可能性があります。
そこで一度の移動は1ミリぐらいにして、その都度写真の様にラジオペンチを使って適時追従させるのです。都合4回から5回これを繰り返せばOKです。
完了しました。
次ぎに元通り組み立てます。カーボンブラシを痛めないようにしなければなりません、工場ではこのスリットに治具を差し込み、組み立てるようですが、うまく行きませんでした。
この溝です。
色々作ってやってみたのですが、「模型用マブチモーター」ですと問題なくブラシを痛めずにセット出来ます。ところが今回のモーターのブラシは「カーボンブラシ」なのでその分出っ張っていてなかなかうまくいきません、爪楊枝でチョコチョコやった方が簡単に出来ます。
さて注入ですが、「磁石」が強力なので手でシャフトを持って入れて行くと急激に引っ張られてブラシを痛めます。写真の様にシャフトをしっかりくわえて入れていきます。
完成しました。ツメの部分にマイナスドライバーか小さなタガネを当てて金槌でぶったたきます。ちょっと引っかかっていればOKです。磁石が強いのでひとりでに離れることはないようです。
次回、これに機械接点ガバナーを取り付けます。
2003.9.4