林メカトロ工作支援室
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【関節を動かす装置 01】
(マブチモーターを使った場合の手作り減速機構)


材料費大体一式 320円ぐらい、ガバナとドライバIC付けても 500円ぐらい、ウーム赤貧工作。
2005.8.8

 完全に初心に戻ってしまいました。まず小学生時代によくやった「モーター軸直接輪ゴム減速」です。木製のロコモーション(機関車)で良くやりました。廊下に細い木を打ち付けて線路にし、よくおばあちゃんに怒られたものです。当時の印象としては「マブチモーターって力がネーナー」でした、キットに入っていたプーリー一段だけだったので当たり前だったんですけどね。

 いい加減ロートルになった今、75ミリ対2ミリで 37.5:1を作り、小さな輪ゴム1本で連結しました。次が 30Tと10Tで 3:1合わせて 112.5:1の減速比です。左下の6ミリの銅棒が最終出力です。(本当はここから更にワイヤー減速です)中心の黒く見える棒は上と下は連結していません、機構上同軸に見えるだけです。

 9V(75%)で回してみました。まず「音が静か」(モーター回転音しかしない)6ミリの出力軸回転数は大体1秒間1回転でした、「大たい骨頭開脚」の重心移動に使うには更に 10:1程度落とす必要がありそうです。しかし機構的に追加してしまうと重心移動ではない開脚動作が遅すぎになってしまいます。

 そこで昔実験して実績のある「機械接点ガバナ」を使うことにします。普通でしたらここで「PWM制御」となるところです。しかし「フィードバック」がかからないPWMは上流階級のお嬢様のような物、ここは下町のガキ大将のようなパワフルさがある機械接点ガバナが一押しです。(これは感覚的に分かりづらい、作って実験してみれば一目瞭然、小さなモーターが急に力持ちになったかのような・・・)

 
表と裏。

 私の作っているマブチモーター減速機はサーボモーターに比べてみると「でかすぎっ」と思われると思います。でもそれは試作品だからで「小さくする努力を全くしていない」からです。それと関節全部に同じ機構を使うつもりもありません、それに近い将来CNCを購入します。これを使って「波動減速機」の歯車を作ればかなり小さくなる予定です。(予定です)

  

 子技
 ベニヤ板で75ミリのプーリーを作ったのですが、中心の穴が3ミリ(都合により)の為、溝を掘るときフラフラしてノミなどでは上手く削れませんでした、そこで真ん中のような刃物(といっても平鉄を削っただけ)でやったら上手くいきました。そのうち左右に小ローラー付けて更に使いやすい物にします。(ベニヤにビスをネジ止めしても直角に締まらない場合がある、それを防ぐ方法は沢山あるけど取りあえず簡単な奴)

 ところでなんで75ミリとか直径が中途半端なのかは私が持っている一番大きなホールソーが外径85ミリ、それで円盤を切り出すと外径79ミリの円盤が切り上がる為です。そこに溝を掘ると75ミリのプーリーが出来上がる、と、こういう訳です。

2005.8.8




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【関節を動かす装置 02】
出来るだけ安く小さく力強く簡単に。(贅沢 !! )
2005.8.9

 出来るだけ安く小さく力強く簡単に・・・と、ちょっと欲張りな目標を掲げて部品作りをやってみます。まずは75ミリプーリーとラダーチェーンスプロケットの合体部品です。試作では3ミリのビスにナット締めでしたが、勿論こんな結合では「ゆるんで」しょうがありません、しかし軸径は3ミリのままでやりたいので色々考えてみました。でもって結論は真鍮釘による「リベット止め」のような方式にします。 

  

 取りあえず79ミリのベニヤ円盤を切り出します。で、溝を掘るのに前回より少しましなバイトを作ってみました。実は万能工作台を使ってもっと簡単にきれいな溝を掘る方法があります。今ちょっと暇がないので近い内にやります。

  

 ベニヤ円盤とスプロケットをビス止めし、 1.5ミリのキリサキ(真鍮釘の太さ)で3個所貫通穴をあけます。そして間にスペーサー(プリント基板用)を挟んで組み立てます。あ、忘れました。真鍮板で平ワッシャのような物を裏に当てておきます。


でもって真鍮釘と真鍮平ワッシャを裏でハンダ付けします。


余分な釘を切り取ってヤスリ掛けし、完成です。
(輪ゴムがかかるところが広くなり、幅広輪ゴムが使えます)


これは、まあ治具です。使い道はお分かりだと思います。

 この加工により、試作品より厚さが半分で、十分丈夫な中間伝動部品が出来ました。実に退屈な加工ですが、工作ってこんな事の繰り返しですからしょうがありません、でも一度道がつくと次からは簡単になります。この部品がファーストなら次は「セカンド伝動部品」です。
2005.8.9

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【関節を動かす装置 03】
(スプロケットのボスと巻き取りシャフト)

2005.8.10
 30Tのスプロケットと最終段ワイヤードラム(直径6ミリ)には数sの張力がかかる瞬間が発生すると思われるので、この結合も堅牢にしなければなりません、一体化で作れないこともありませんが旋盤加工が入りますのでそれは止めて「片ボス加工」と「ホーローセット」でやります。

  

 まずはボスになる部分です。厚みは6ミリは欲しいです。アクリルの暑い板などで良いのですが、手持ちがないので平鉄でやりました。例によってホールソーで平ワッシャの親玉みたいな円盤をくり抜きます。それをボール盤バイスに挟み(落っこちないように下に鉛筆を差し込んでいる)キリサキで穴をあけます。ここはセオリー通り45度はなれたところにも穴あけします。そしてタップを立てます。(ビスが入っているのは穴の位置をわかりやすくしているだけで、使うわけではありません)

 キリサキであける穴の件ですが、 3*0.5ミリネジなので 2.5ミリキリサキであける・・・と、かなり高い確率でタップを折ります。勿論「荒 中 仕上げ」と順番にゆっくりやっていけば大丈夫だと思いますが、「こんな部品にそんな事やってられっか」ということで、ここでは2.6ミリか 2.7ミリであけます。不完全ネジになりますがホーローセットを使うので心配ありません、理由は「強度」の問題です。(別コーナーでその辺のところを)


ちゃんと撮ったつもりでしたが暗くなりました。スプロケットとボスを結合させるための
3個所の穴をあけているところです。平鉄は穴あけガイド治具です。

 

 表側と裏側です。ともに左が鍋ビス、右が皿ビスで止めたところです。出っ張らない分皿ビスの方が使いやすそうでした。

 左が買ってきた 30Tの真鍮製片ボスラダーチェーンスプロケットです。40グラムあります。右が今回作った物で15グラムでした、ボスの部分もアクリルで作れば5グラムぐらいで出来ると思います。
2005.8.10

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【関節を動かす装置 04】
(何とか実用に近づいてきたっポイ)

2005.8.11
 マブチモーターから輪ゴムで約 4:1 そこから幅広輪ゴムで 25:1 次がチェーンで 3:1 で、計6ミリのワイヤードラムまで 300:1 です。大体3秒で1回転になりました。6ミリのワイヤードラムをプライヤーでひっつかみ、65ミリのところに500グラムの重りをぶら下げたら何とか持ち上がりました。あと一段残っているのでトルクはかなり出ているかも?。

  

 左写真黒矢印の75ミリのプーリーですが、輪ゴムが少し幅広だったので溝を平らに(テープレコーダー等の要領で)削ったらこれが大失敗、縁に乗り上がって外れてしまいます。ここはやはり V溝でなくてはダメです。それから中央の写真赤矢印(大プーリー軸)のネジと、最終段取り付けボルト(黒矢印)の事を何にも考えていなかったので競合してしまいました。(その為この減速機は完成していない)

   

 Aは普通の輪ゴムと少し幅広の輪ゴムです。Bは「バンコード」です。直径2ミリですが、もっと細い物があるかどうか今度聞いてみます。なるほど、Vの部分に食い込まなければスリップするのは当たり前だし、ベルトがタイコに乗り上がるのは常識でした、輪ゴムだと思ってちょっとバカにしてたかも、反省。(赤矢印はV溝、黒矢印は適当に平らに溝を掘った物)
2005.8.11



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【関節を動かす装置 05】
【差動減速機構】

2005.8.12
 「メカニズム辞典」という本の中に「差動減速機構」という項目があります。一個違いの歯車の組み合わせで数万対1なんていうとんでもない減速機が紹介されています。しかしあんまり役にたちそうにないので記憶の片隅に押しやっていたのですが、昨日病院の待合室で例のごとくボーーーっとしていたら突然ひらめきました。

 「一個違いの歯車製作なんてやってられっかっ」と思っていたのですが、「ラダーチェーンスプロケットならどうだろう」と思いついたのです。歯車の組み合わせのように莫大な減速比は無理でも「そこそこなら?」、と。

 そこで本日、例の万能工作台+ならい切削盤モードで 10Tと11Tのスプロケットを数個作りまして先ほどまで「クルクル」回して遊んでおりました。「間違いない !! 」 10Tと11Tの組み合わせで 10:1 11:1 の減速比になります。(組み合わせ方による)それも「波動減速機」のように精密な加工でなくとも差動なら「噛み合い」に問題なしです。

 オマケに平歯車のかみ合いのように歯が 1:1 の対応ではなく半周(180度)は常にかみ合っています。これはどういう事かといいますと「伝達効率が歯車とは比べ物にならないくらい良い」ということです。写真でお見せしたいところですが、女房が旅行にデジカメ持って行っちゃったので帰ってきてからです。

 さて、 10T を3個、 11T を1個の計4個の組み合わせです。「平成教育委員会」ではありませんが「どういう組み合わせ方でしょうか」、回答はデジカメが戻ってきてからです。平歯車よりはるかに高い効率が期待出来るこの差動減速は一度やってみる価値があります。そうそう時計の長針と短針の 12:1 も簡単に製作(同軸出力)出来ます。それから「分割盤」にもなりますね。(勿論ロボットの中間減速機構に最適です)