林メカトロ工作支援室
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K【タップ立て器】

 工作ベース300 そのK 手回しタップ立て器を作ります。タップ作業は市販のハンドルではなかなか垂直にネジを切れません、それにかなり折りやすいです。その点回転軸をつければどなたでも快適に作業出来ます。本来旋盤があれば簡単に作れるのですが、日曜大工センター等で手軽に購入出来る5ミリの真鍮パイプで作る方法をUPします。


M3*0.5ミリのタップに軸とハンドルを付けます。
 前半の材料、 3ミリのビスナット プリント基板用のスペーサー 真鍮釘 5ミリの真鍮パイプ M3*0.5ミリ中タップ 1ミリ厚の真鍮板少々 以上です。

 M3*0.5ミリタップは「スパイラルタップ」でやりたかったのですが、手元に無かったのでノーマルの中タップにしました。分厚い鉄にタップを立てる訳ではないので大丈夫でしょう。
 5ミリの真鍮パイプにタップを差し込み、(きっちり入ります)横腹にコテをあてがい加熱して上からヤニ入り糸ハンダを入れていきます。タップの頭の四角い部分をハンダで固める訳です。コテは 30W以上の物が良いと思います。
 
 アームをはめてから、切り込みを入れておいたパイプに真鍮釘を差し込んで全体をハンダ付けします。アームの端にはスペーサーを入れたビスを取り付けます。本当は木を削ってハンドルにしたかったのですが今回はスペーサーで代用します。

次に取り付け台を作ります。

 前にやった「手回しドリル」の時はベニヤで台を作ったのですが、今回は3ミリ厚の平鉄で作ってみました。それからこういった工具は今までは独立した構造で作っていたのですが、万能工作台改め「工作ベース300」を使いだしてからは「独立させて単体で使うよりも工作台などに固定した方がはるかに使いよい」ということがわかってきたのでこのような形です。
 
 3ミリ厚の平鉄に 2.5ミリの穴をあけ、M3*0.5ミリタップでネジを切って組み立てます。なんか「ニワトリが先か卵が先か」みたいな事になってますがご勘弁、それと平鉄のひねりなんかやっていますが、単なる材料節約+手抜きですのでそこんとこよろしくです。

工作ベース300に取り付けましたが万力でも勿論可です。

 
 試しの「タップ立て作業」です。3ミリ厚の平鉄に 2.5ミリの下穴をあけ、タップ立て作業をしました。全く問題なしです。まずタップに切削油替わりの 556を少々吹きつけてから「押しつけ回転」(勿論時計回り)していきます。当然無理矢理回すのではなく、抵抗を感じたら「少し戻す」をします。ここら辺の感覚は実際に経験しないと言葉ではなかなか説明しづらいです。何本かタップを折ってみるのも勉強です。(確実に頭にきます。悔やみます。あの時無理をしなければ・とか)
 平行に2個所タップを立て、少し長めのビスをねじ込みました。この写真で私が言いたいのは2本のネジが平行になっていると言うことです。市販のタップハンドル作業だとよほど作業に慣れていないとこうはいきません。(ま、短い止めビスだったら問題外ですが)



 工作ベース300の使い方、12番目のお助け治具でした。

L 【手回しダイス作業】
 「ダイス」とは丸棒にネジを切る工具です。早い話がビスやボルトのようなネジを作る訳です。タップはドリルキリサキで穴をあけてネジを切りますが、ダイスは丸棒にネジを切りますので、「どんな寸法でも」という訳にはいきません、手に入る丸棒に左右されます。

 ここでは日曜大工センターや、ホームセンター等で比較的手に入りやすい「3ミリの真鍮丸棒」にネジを切ります。当然ダイスは写真の 3M0.5ミリダイスを使います。ところで3ミリの真鍮丸棒を何かに固定しなければなりません、ペンチやプライヤーなどでの固定では作業性が悪くなります。万力にくわえる・・・というのが普通ですが、丸棒にキズが付きます。そこで固定治具を作ります。
 6ミリ厚の平鉄で作ります。押さえつける面が万力のように平面では相当強く締め付けないとダメです。(実証済み)平面だと「線接触」ですので「面接触」にします。その為にはちょっとかわった加工が必要です。写真は6ミリ厚の平鉄2枚と 0.5ミリのアルミ板、そして6ミリのキャップスクリューボルトです。
  
 平鉄をサンドイッチにし、間に 0.5ミリのアルミ板を挟んで3ミリの穴をあけます。うまく側壁が削れるように金ノコで少し溝を付けておくと良い感じで削れます。(矢印)

こんな具合。


ばらすとこうなります。


3ミリの真鍮丸棒を挟んで締め付けました。
0.5ミリの隙間がありますのでしっかり固定されます。

 工作ベース300に取り付けたところです。(勿論万力でも可です)万力よりもしっかり固定されています。


 次にダイスです。

市販のダイスハンドルです。(ダイスをはめてます)

 新品のダイスはちょっと縮まっているらしく、購入したときの状態で真鍮丸棒をダイス作業すると、ナットがゆるすぎて気になって仕方がありません、そこで私は少し隙間を広げて使っています。スリットにマイナスドライバーをたたき込んで隙間を広げ、時計ドライバーで調整ビスを少し締めこんでいます。(鉄丸棒の時は購入の状態で丁度良い感じです)私は学がないのでこの辺のところはどなたかが解説してくれるでしょう。(丸投げ)
 さて、ダイス作業は教科書では万力に丸棒を縦に挟んでダイスハンドルを水平に構え・・・とか解説しています。直径6ミリぐらいのダイス作業だったらその方法でナントカ作業が進むのですが、今回のように3ミリだとなかなか先端が食い込んでくれません、写真のように棒を横に固定するといくらかやりやすいです。

 ダイス作業の場合、「丸棒の先端をダイスの中央に誘導すると同時に2直角を保持しながら時計回りに押し回しをする」という実に厄介な同時作業が要求されます。初めての方にはなかなかこの感覚は難しいと思います。そこで我が「林メカトロ工作支援室」では「超簡単お助け治具」をご紹介します。(勿論作業の前に丸棒の先端処理も必要です)
 
 材料はダイスとダイスハンドルのほかに10ミリの角材少々と整合用のビス1本それとビニールテープです。角材の真ん中辺に3ミリの穴をあけます。

角材の穴にビスをいれ、そのままダイスにねじ込んでいきます。
(ダイスの裏表を間違えないで下さい)

 
角材とハンドルをビニールテープで固定します。


ビスをはずして完了、簡単でしょ。

 
 あとは解説の必要が無いと思います。角材の穴が「中心への誘導と2直角の確保」をしてくれますので、あとは時計回りに押し回しをするだけです。少し556をつけてください、真鍮は柔らかいので例の「少し回しては戻し」は必要ありません、(鉄丸棒の時は必要)右の写真はネジを切ったあとに蝶ナットをはめてみました。
 ビニールテープだとその場限りです。写真上は恒久的に使えるように作った物です。参考写真です。(戻しハンドルを付けたりして)

 このダイス作業の目的は「エアシリンダー」の四隅の組み立てボルトを作ろうとしたとき、結構ダイス作業が面倒だったので考案した物です。3ミリより細い 2.6ミリとか2.0ミリの丸棒にネジを切りたい・・・なんて時にも役に立つと思います。



 ところで、「作業前の丸棒の先端処理」ですけど、この治具を使うと「ペンチで切断しただけ」の状態でもねじ切りが出来ます。ちゃんとナットもスルスル入ります。ま、みっともないですけど。

 それからついでに書いておきますが、ダイスの歯は「初期食い込みから仕上げ」まで10列ほどしかありません、(M3の場合)したがって丸棒がダイスの公称作業直径より少しでも太いと初期食い込みにかなりの力がかかり、結果的に「坊主」になります。(せっかく切れたネジ山が押し戻されて更に切れてしまう、結果・坊主)つまり 3.2ミリの丸棒があったとしてそれにM3のネジを切りたかったら作業長さ分 3.0ミリに削りなおしてからでないとダイス作業は出来ません、わずか 0.2ミリでもダイスにとっては大変な障害になります。


 解像度の高いパソコンで見ると、文字のセンタリング等が狂って見える場合がありますが、ホームページビルダーのせいか私のパソコンのせいかわかりません、私的にはちゃんとやってるつもりなんですが。